リラクゼーションサロン開業に必要な6つの準備について徹底解説
リラクゼーションサロンを開業するには、施術内容や開業形態、資金計画など決めるべきことが多くあります。そこで本記事では、開業に向けて必要な6つの準備についてわかりやすく解説していきます。これからサロンを開業しようと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
もくじ
施術内容を決める
リラクゼーションサロンを開業する際は、どのような施術を提供するかを明確にしておくことが大切です。アロマトリートメント・もみほぐし・リフレクソロジーなど、施術の種類によって必要な設備や人材、料金設定も異なります。
お客さんのニーズに応えるためにも、自分が得意とする技術や学んできた知識をもとに、サロンの特徴となるメニューを考えましょう。施術内容が明確であるほど、ターゲット層へのアピールもしやすくなります。
サービスによっては資格の取得が推奨される
提供する施術によっては、専門的な知識や技術が求められる場合があります。たとえば、アロマテラピーを取り入れる場合は「アロマテラピー検定」などの資格があると信頼性が高まります。
また、国家資格が必要な施術もあり「あん摩マッサージ指圧師」はその一例です。必ずしもすべての施術に資格が必要というわけではありませんが、安全性やお客さんの安心感を考えると、関連する資格を取得しておくことは大きな強みとなります。
開業形態を決める
リラクゼーションサロンを始める際には、どこでどのように営業するかを考える必要があります。
開業の形態によって初期費用やランニングコスト、集客のしやすさなどが大きく変わってきます。それぞれの特徴を理解し、自分のスタイルや目標に合った方法を選びましょう。
テナントを借りる
サロン専用のテナントを借りて営業する方法は、自由度が高く、しっかりとした店舗を構えたい方に向いています。立地がよければ自然と人目に付きやすく、集客面でも有利になるでしょう。
ただし、その分テナント料や光熱費などの固定費がかかるため、毎月のコスト管理が重要になります。また、契約期間や保証金なども考慮して、無理のない範囲で計画を立てることが大切です。
自宅で開業する
自宅の一室を使ってサロンを開業するスタイルは、初期費用を抑えられる点が大きなメリットです。アットホームな雰囲気でリラックスしてもらえるためリピーターを増やしやすい一方、住宅街では人どおりが少なく、集客に工夫が必要となります。
SNSや口コミなどを活用して認知度を高めていきましょう。また、自宅を使う以上、家族の理解やプライバシーの確保も大切なポイントになります。
レンタルサロンを利用する
レンタルサロンは、必要な時間だけスペースを借りて施術を行えるため、低リスクで開業できるのが魅力です。初期投資が少なく、営業時間や日数を自分の都合に合わせられるため、副業として始めたい方にも適しています。
ただし、場所が固定されない場合が多く、とおりすがりの新規顧客を取り込むのは難しい面もあります。予約制を基本とし、既存客を大切にする運営スタイルを行いましょう。
資金を準備する
リラクゼーションサロンを始めるには、資金面の準備も欠かせません。開業前にかかる初期費用だけではなく、開業後も毎月の運営資金が必要になるため、ある程度の余裕をもって計画を立てることが重要です。
無理のない範囲で始められるよう、費用の目安を把握しておきましょう。
開業前に必要な費用の目安
サロンを開業する際に必要な初期費用は、店舗の大きさや立地、導入する設備などによって大きく異なります。一概に金額を断定することはできませんが、目安としてはおよそ250〜600万円程度を見込んでおくと安心でしょう。
中でも物件取得にかかる費用は大きく、理想の立地にこだわりたい場合は、初期費用を少しでも抑えるために居抜き物件を検討するのがおすすめです。設備がすでに整っていれば、内装や備品の導入にかかる費用も抑えられます。
開業後に必要な費用の目安
サロンをオープンした後の毎月継続してかかる費用について忘れてはいけません。具体的には、光熱費や家賃、人件費、施術に使用するアロマやクリームなどの材料費、広告宣伝費などが挙げられます。
とくに人件費は、売上の約半分を占めることもあるため、スタッフを雇う場合は収支を慎重に見極める必要があるでしょう。
また、集客を安定させるためには、ホットペッパービューティーへの掲載やホームページの開設といった広告費も見逃せません。収益が軌道に乗るまでは、運転資金に余裕を持たせておくことが大切です。
開店準備をする
開業の準備段階では、サロンのコンセプトに沿った空間づくりがとても重要です。とくにリラクゼーションサロンの場合は、訪れたお客さんが心身ともにくつろげるような雰囲気づくりが求められます。
内装やインテリアのデザインは、サロン全体の印象を大きく左右するため、落ち着いた色合いや自然素材を取り入れるなど、リラックスできる空間を意識して整えましょう。照明や音楽、香りといった五感に働きかける要素も、雰囲気づくりには欠かせません。
また、快適な施術を提供するためには、必要な設備や備品もしっかりとそろえておきましょう。
たとえば、施術用のベッドやリクライニングチェアは、使い勝手やお客さんの寝心地を考慮して選ぶ必要があります。アロマオイルやマッサージクリーム、フェイスタオル、バスタオルなどの消耗品も十分に準備しておきましょう。
さらに、スムーズな受付対応のために、レジや予約管理のためのシステム、名刺やメニュー表などもあらかじめ用意しておくと安心です。お客さんが「また来たい」と感じてくれるような環境を整えることを意識して、細部までていねいに準備を進めていきましょう。
スタッフ採用・教育を行う
リラクゼーションサロンでスタッフを採用する際は、どの業務を任せるかを事前にしっかりと決めておくことが大切です。
たとえば、自分が店長として現場に立ち続けるのか、それともスタッフに店舗運営を任せていくのかによって、求める人材や教育内容は大きく変わってきます。
また、お客さんへの施術だけではなく、受付や予約管理、備品の補充、清掃など、サロン運営にはさまざまな業務があるため、それぞれのスタッフにどこまでの役割を求めるのかも明確にしておく必要があるでしょう。
さらに、業務の範囲によっては覚えてもらう内容が多く、教育にも時間と労力がかかります。施術技術だけではなく、接客マナーや衛生管理、使用するアロマオイルや機器の扱い方など、習得してもらうべきスキルは多岐にわたります。
未経験者を採用する場合は、丁寧な研修を行う体制を整えることが重要であり、経験者であっても自サロンのやり方に合わせた指導が必要です。
スタッフの質は、そのままサロンの評判やリピート率に直結します。お客さんが安心して通えるよう、技術だけではなく、人柄やコミュニケーション能力も重視して採用することが大切です。
集客方法を決定する
現在はさまざまな集客方法があり、それぞれに特長があります。サロンのコンセプトやターゲット層に合わせて、効果的な方法を組み合わせて活用していきましょう。
まず、地域密着型のアプローチとして、近隣へのチラシ配布は有効です。オープン前やキャンペーン時期に合わせて配布すれば、周辺に住む方々にサロンの存在を知ってもらうきっかけになります。
一方で、SNSを使った集客も今では欠かせない手段です。X(旧Twitter)やInstagram、TikTokなどを活用すれば、写真や動画を通じてサロンの雰囲気や施術の様子を手軽に発信できます。継続的に情報を投稿することで、予約や来店につなげることが可能です。
さらに、ホットペッパービューティーなどの予約サイトへの掲載も、集客の柱となります。多くの人が利用する大手サイトでは、新規客の獲得がしやすく、ネット上での予約受付もスムーズです。
そのほか、独自のホームページを開設し、SNSや予約サイトからの流入を促す方法も効果的です。店舗の詳細情報やメニュー、スタッフ紹介、ブログなどを掲載すれば、サロンへの信頼感や安心感を高めることにもつながります。
リラクゼーションサロンを開業するメリットを紹介
リラクゼーションサロンの開業は、専門的な技術や知識を活かしながら、自分の理想とする働き方を実現できる魅力的な選択肢です。ここでは、リラクゼーションサロンを開業することで得られるおもなメリットについてご紹介します。
自分が得意な施術を行える
リラクゼーションサロンを自分で開業する最大の魅力は、自分が得意とする施術を中心にメニューを組み立てられる点です。自分がオーナーであるため、誰かに決められた施術をこなす必要はなく、経験やスキルに自信のある分野に集中することができます。
アロマトリートメント、もみほぐし、ヘッドスパなど、自分が学び、習得してきた技術を存分に活かすことができる環境は、施術者にとって非常にやりがいのあるものです。
さらに、店舗の内装やサービス内容も自由に設計できるため、理想とするサロンの雰囲気を自分の手で作り上げられるという楽しさもあります。細かな部分までこだわって、自分の個性を反映したサロンを開業できるのは、個人経営ならではの魅力といえるでしょう。
比較的低リスクに開業可能
リラクゼーションサロンは、美容室や飲食店に比べて比較的少ない資金でスタートできる点もメリットのひとつです。
たとえば、マンションの一室を活用したり、自宅の空き部屋を利用したりすれば、店舗の取得費用や内装費用を大きく抑えることができます。施術に必要なベッドやタオル、アロマなどの道具も、最初は最低限のものをそろえるだけでスタートすることが可能です。
もちろん、本格的なテナントを借りて営業することもできますが、開業スタイルを柔軟に選べるため、無理のない範囲で事業を始められるのは大きな魅力でといえるでしょう。
初期投資が少なく済む分、経営が軌道に乗るまでのリスクも抑えられ、とくに初めての開業を考えている方にとっては、安心して一歩を踏み出せる選択肢といえます。
お客さんとのコミュニケーションを楽しめる
リラクゼーションサロンは静かな環境で施術を行うことが多く、お客さんとの距離も自然と近くなります。騒がしい環境ではなかなか会話がしづらいものですが、サロンの落ち着いた雰囲気の中では、リラックスした気持ちでお互いに話ができるのも大きな魅力です。
こうした会話を通じて信頼関係が築けると、お客さんが安心して通い続けてくれるようになります。名前や好みを覚えてもらえることで、特別感を感じていただくこともでき、リピーター獲得にもつながります。
人と接することが好きな方にとって、こうした温かな交流が日々の仕事のやりがいとなるでしょう。
リラクゼーションサロンを開業する際の注意点
リラクゼーションサロンの開業は、自分のペースで仕事ができる反面、注意しなければならない点も多くあります。これから開業を考えている方に向けて、注意すべきポイントをいくつか紹介します。
1日に出せる収益が限られている
リラクゼーションサロンの収益は、1日に対応できるお客さんの人数によって大きく左右されるものです。サロンの規模や提供するサービスにもよりますが、一度に対応できるお客さんの数には限りがあり、これが収益を上げるうえでの大きな制約となります。
大規模なサロンやチェーン店に比べると、単独経営のサロンでは大きな利益を得ることが難しく、収益性に限界があるといえます。
そこで注意しなければならないのは、価格設定です。メニューを高く設定すれば利益は上がりますが、逆にお客さんが減ってしまう可能性もあります。そのため、価格のバランスを取ることが求められます。
高めのメニューやオプションを追加することで収益を増やす方法もありますが、そのためにはリピーターの獲得が不可欠です。信頼を築き、何度も来ていただけるお客さんを増やすことが、安定した収益につながります。
オーナーの負担が大きい
リラクゼーションサロンのオーナーは、経営全般を一手に担うことになります。自分ひとりで営業する場合、代わりがいないということを強く認識する必要があります。
スタッフを雇用しても、最終的な責任はオーナーにありますし、すべての判断や対応を求められる場面も少なくありません。
病気やケガで気軽に休むことができないため、自己管理がとても重要です。体調が悪ければ営業に支障をきたし、収益にも影響を与えます。
さらに、オーナーとして働くうえで、メンタル面でも健全でいることが必要です。ストレスが溜まると仕事に支障が出てしまうため、日々の健康管理やリラックス方法を取り入れることが大切です。
オーナーとしての責任は重いですが、健康を維持しながら経営を行うことが長期的な成功につながります。
競合店が多い
リラクゼーションサロンの市場には、競合となる店舗が多い場合があります。とくに都市部や人口密集地では、似たようなサービスを提供するサロンが数多く存在し、競争が激しくなることが考えられます。
このような環境で成功するためには、他店との差別化が不可欠です。競合と差別化するために、オリジナルのメニューやサービスを考案しましょう。
たとえば、当店独自の特別なアロマオイルを使用した施術や、特別なリラクゼーション技術を提供することで、他店と差をつけることができます。
また、ターゲットとなるお客さんのニーズに合ったサービスを提供することも重要です。差別化ができれば、競合に埋もれることなく、独自のファンを獲得することができ、サロンの認知度向上にもつながります。
リラクゼーション業界の市場規模を紹介
リラクゼーション業界は、近年安定した成長を遂げており、2024年6月にホットペッパービューティーアカデミーが発表した調査結果によると、市場規模は3,674億円に達しています。
これは前年比で9.6%の増加となっており、業界全体が順調に成長していることがわかるでしょう。この市場規模のうち、着衣での施術に関する部分は2,564億円となり、こちらも前年度比で6%の増加を記録しています。
着衣施術は、おもにリラクゼーションマッサージやアロマテラピーなどのサービスが含まれ、男女ともに1回あたりの利用金額が2年連続で上昇しています。これにより、着衣施術は依然として市場で非常に人気のあるカテゴリーといえるでしょう。
一方、脱衣施術についても顕著な成長が見られます。女性の脱衣施術に関しては、2年連続で1回あたりの利用金額が上昇しており、市場規模は1,110億円でした。
こちらは前年比で16.9%という二桁成長を見せ、とくに女性向けの施術が好調であることがうかがえます。
脱衣施術は、ボディトリートメントや痩身、エステティックサービスがおもな施術となり、健康や美容を意識する層に支持されています。
全体的に、リラクゼーションサロンの市場は着実に拡大しており、利用金額の上昇やサービスの多様化が進んでいます。これからもリラクゼーション業界は、消費者のニーズに応じて進化を遂げることが予想され、事業者にとっては大きなチャンスのある分野といえるでしょう。
まとめ
リラクゼーションサロンの開業に向けて、必要な準備を6つの重要なステップで紹介しました。まずは施術内容を決定し、自分の得意な技術を活かしたサービスを提供することが大切です。次に、開業形態を選び、資金準備をしっかりと行います。その後、店舗の内装やスタッフ採用、教育を進め、集客方法を決めることで安定した運営が可能となります。リラックスできる環境を提供するためには、細部にこだわりながら計画的に準備を進めることが成功へとつながるでしょう。